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最高裁判所第二小法廷 平成4年(あ)370号 決定

本籍

東京都江戸川区西瑞江三丁目三四番地

住居

千葉県船橋市三山四丁目三番五号

会社役員

鶴田弘行

昭和一二年五月二六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、平成四年三月三〇日東京高等裁判所が言い渡した判決に対し、被告人から上告の申立てがあったので、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人三宅秀明、同篠崎芳明の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、所論引用の判例は所論のような趣旨までをも示したものではないから、所論は前提を欠き、その余の点は、単なる法令違反、量刑不当の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。

よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 木崎良平 裁判官 中島敏次郎 裁判官 大西勝也 裁判官 根岸重治)

平成四年(あ)第三七〇号

○ 上告趣意書

被告人 鶴田弘行

右被告人に対する所得税法違反被告事件について、弁護人らは上告の趣意を左記のとおり陳述する。

平成四年六月一〇日

右被告人弁護人

弁護士 三宅秀明

同 篠崎芳明

最高裁判所第二小法廷 御中

第一点 原判決は最高裁判所の判例と相反する判断をしており、当然破棄されるべきものである。

一、本件は、事前の所得秘匿工作を伴わない虚偽過少申告事案であるが、右過少申告行為そのものが「偽りその他不正の行為」(所得税法第二三八条)に当たるためには、最高裁判所昭和四八年三月二〇日第三小法廷判決(刑集第二七巻第二号一三八頁)の判示するように「所得金額をことさら過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出する行為」に該当することを要するところ、右「ことさら」とは、犯意につき「未必の故意」では足りず、当該申告によって税を逋脱することの積極的な意思の存在、及び行為の態様において客観的にみてあえて右申告に及ぶ行為であることが外形的に明らかな場合をいうと解すべきである(「ことさら」の意義につき、刑法改正準備草案一一条、同理由書一〇四頁参照。なお所得隠蔽の作為をまったく伴わない単なる過少申告一般につき、この判例のとおり「詐欺不正の行為」とはいえるか検討を要するとする。藤木英雄「行政刑法」学陽書房刑三二九頁、松沢智「逋脱犯の訴追・公判をめぐる諸問題」租税法研究第九号六三頁参照)。

二、しかるに原判決は、右「最高裁判例から所論のような解決を導き得るか疑義なしとしない」としたうえで、第一審判決は「所論『未必の故意』ではなく、確定的故意を認定している」とし、「逋脱の犯意としてはその旨の認識、認容を要し、かつ、これをもって足りるというべきところ、原判決挙示の関係証拠によれば、被告人は実際の株式売買益の金額を正確に把握していたにも拘らず、その全額が課税対象となることを回避するため、保有株式の値下がり分については『売買(ばいかい)を振る』と称して架空の売却損を算出した上、これを所得から控除し、昭和六一年分及び同六二年分についてはそれでも利益が出過ぎるとして、更に適当な金額を控除した金額を株式売買益として記載したメモ書きを税理士に交付し、これに基づいて税理士の作成した所得税確定申告書に署名押印して自ら所轄税務署長に提出したことが認められるから、当該所得税確定申告書が所得金額をことさら過少に記載して内容虚偽のものであることを十分認識した上であえて申告行為に及んだものというべきである。してみれば本件各逋脱行為につき被告人が確定的故意を有していたことは明らかであるといわなければならない」旨判示している。

三、しかしながら原判決は、第一審判決が「本件を事前の所得秘匿工作を伴わない虚偽過少申告事犯(すなわち、過少申告行為そのものが「偽りその他不正行為」に当たる)と構成していることはその判決文全体を通じて明らかであって」とした上で「所論雑記帳(略)などへの記載をもって『偽りその他不正の行為』とする趣旨でないことは敢えて多言の要をみない」と判示する。

そうだとすると、原判決は、本件が所得秘匿行為を伴わない虚偽過少申告犯と認定しているのであるから、「犯意」につき「未必の故意」ではなく積極的な意思の存在と、当該申告行為が外形的にも不正な行為と認められることを要すべきところ、原判決は本件における雑記帳やメモの作成が、単に株式評価損を算出するに際し記憶喚起のためのものに過ぎないことを認めており、かつ、「被告人が、保有株式の評価損の控除は所得税法上も認められてよいのではないかとの考えを持っていた点」についても「それは法律の錯誤にほかならず、犯意の成否・内容とは関わりのないことである」と判示するのであるから、「法律の錯誤」の存在を肯定すること自体「積極的な意思」の存在しなかったことを自認していると言うことが出来る。

四、しからば、原判決は前述したように雑記帳やメモの作成それ自体、外形的にみて不正行為とする趣旨でないことを認めており、かつ、犯意についても「その旨の認識・認容を要し、かつ、これをもって足りる」と判示し、単に確定申告書が過少であることの認識さえあれば足りるとして、敢えて申告することの「積極的な意思」の存在については、これを何ら認定していないのである。

被告人には「法律の錯誤」と認定される故意と、被告人が毎年株式取引による株式売買益を申告納税していた全国でも数少ない一人であること、株式配当所得については全額申告していること、株式売買益は原則非課税であり、法人には保有株式の評価損を認めていることから、被告人も申告時には保有株式の評価損を控除出来るものと確信していたことなどを併せ考えれば、被告人にはことさら虚偽の過少申告書を提出する「積極的な意思」を認定することは不可能であるといわねばならない。そうであるからこそ第一審判決も故意の存在につき「推認」されるとしてこれが直接証拠により認定出来ないことを認めて、その旨判示しているのである。

しかるに原判決は、信用性のないことが明らかな被告人の検察官に対する供述調書の記載をもって直接証拠であるとして、何ら新たな事実の取調べもせず、第一審判決の「推認」による認定を覆しているのであって、被告人の犯意につき原判決が「積極的な意思」の存在まで認定しているとは到底言えない。そのうえ、保有株式の評価損を算定した雑記帳・メモによれば昭和六一年分、昭和六二年分の各評価損の額は「個別的認識説」に立ち、明確に識別出来るのであるから、この部分については犯意がないことが明白であり、右各金額はこれを各年分の実際所得金額から控除すべきである。

以上のとおりであるから、本件につき原判決が所得秘匿工作を伴わない虚偽過少申告犯であるとして犯罪の成立を認めたのは明らかに最高裁判所判例の「ことさら」の意義解釈を誤り、相反する判断をしたものといわねばならない。

第二点 原判決には判決に影響を及ぼすべき法令違反があり、これを破棄しなければ著しく正義に反するものである。

一、本件の査察の端緒は、被告人が昭和六三年一〇月一九日船橋税務署職員(課税処分を行う担当者)から所得税法第二三四条第一項に基づく税務調査を受け、顧客勘定元帳などの提出を命ぜられて、これを提出したことにある。これら資料により収税官吏は本件所得税法違反の査察に着手し、第一審判決の挙示する収税官吏大蔵事務官作成の脱税額計算書や脱税額計算書説明資料、有価証券売買益調査書などの関係各証拠も、その殆どが右査察による捜査差押にかかる原始資料やそれらの資料により作成されたものであるから、その手続きは、所得税法二四三条及び国家公務員法一〇〇条に規定する税務署職員の守秘義務に違反するものであって、それらは違法収集証拠として、当然、その証拠能力は否定されるべきところ、原判決は「通常収税官吏が査察に着手するまでには相当の準備期間を要し、しかもその間に相当内偵が先行していることも容易に推測される(このことは被告人が原審公判廷において、昭和六三年九月中頃、船橋税務署員から電話があって、資料を揃えておいて欲しいとの連絡があった旨供述していることに徴しても十分窺える)から、・・・被告人が提出した顧客勘定元帳が本件査察の端緒になったものとは即断できない」と判示し、かつ「仮にこれが端緒になったとしても所得税法二四三条一項の規定が、その立法趣旨に照らし、税務調査中に犯則事件が探知された場合に、そのことが端緒となって収税官吏による犯則事件としての調査に移行することを禁ずる趣旨のものとは解されない(最高裁判所昭和五一年七月九日第二小法廷判決・裁判集二〇一巻一三七頁参照)ので、本件犯則調査の際の押収手続が違法であるとは到底考えられない」旨判示している。

二、しかしながら右原判決は、民事上の税務調査手続と司法処分に直接結びつく査察調査手続を混同し、その峻別を規定した所得税法第二三四条第二項に違反し、かつ、船橋税務署には査察官である収税官吏は在籍せず、すべてが行政処分(課税処分)を担当する税務職員であって、査察調査手続を担当する収税官吏は上級庁である国税局にのみ配置されているのである。

従って原判決が、「昭和六三年九月中頃被告人が船橋税務署員から電話で資料を揃えておいて欲しいとの連絡を受けたことをもって収税官吏による内偵が先行していたことを推測できる」と判示しているのは明らかに誤解であって、これが本件の法令違反を惹起する要因となっている。しかも原裁判所にはこの関係を立証すべく弁護人のした収税官吏に対する証人調の申請を理不尽にも却下したのみならず、原判決は前述したように所得税法第二三四条二項の立法趣旨を無視し、かえって所得税法第二四三条(守秘義務)の立法趣旨のみに執着したところに基本的な過ちを犯していると言える。

本件は、課税処分のための税務調査を行った船橋税務署職員から東京国税局査察部に通報され、同部所属の収税官吏により査察が開始され、その結果、収税官吏の被告人に対する強制とも思える修正申告の勧奨により修正申告をなさしめ、これにより船橋税務署はその目的を達したケースであり、若しこのように課税処分のための税務調査と、司法処分のための犯則調査とが混淆されるとすれば、それは「両者を区別する制度の趣旨に反し、犯則手続によらないで課税を行うという、国と納税者の租税債権債務の基礎にあるべき相互の信頼関係が失われることにもなる」(小島健彦「直税法違反事件の研究」、司法研究報告書第二四輯第二号二二四頁)。

しかも課税処分のため「担当職員が質問・検査の過程で、たまたま納税義務者の租税犯則事実を知った場合には、租税職員の守秘義務(国公法第一〇〇条、地公法第三四条、所得税法第二四三条、法人税法第一六三条)が公務員の告発義務(刑訴法第二三九条〈2〉)に優先し、租税職員はそれを外部に漏らしてはならない義務を負う、と解すべきである」といわれているのである(金子宏「租税法第二版」四五八頁。同旨、松沢智「税理」論文三二巻六号八頁、山田二郎「租税行政の諸問題」租税法研究一四号七頁)。このような現状が本件以外においても税実務において多年に亘って公然と行われているのであって、弁護人としても第一審裁判所においては審理の促進に協力するため、検察官提出の書証を同意したが、このような事実を肯定した訳ではなく、刑事訴訟法三二六条一項が「その書面が作成されたときの状況を考慮し相当と認めるときに限り、これを証拠とすることが出来る」旨規定しているところから、原審において収税官吏を証人として申請し、同証人によりその違法追及しようとしたのである。

かかる現状を放置すれば、証拠能力のない証拠が採用されて、刑事訴訟の規定が無視され押収手続の違法が横行し、著しく正義に反するといわねばならない。

三、原判決が挙示する最高裁判所昭和五一年七月九日第二小法廷判決(裁判集二〇一巻一三七頁)は、原判決の説示するような趣旨ではない。

即ち、課税処分のための税務調査により犯則事件が探知されたとして国税局の収税官吏に通報され、これが犯則調査のための端緒となったとしても違法ではないとしているのでは決してない。このことは同最高裁判決の原審(名古屋高判昭五〇・八・二八、税資刑三七-一一九八)が「なお記録を検討するに、本件の場合、税務調査担当の当該職員について、所論が論旨に付随して論難する、守秘義務違反の問題を生ずる余地はない」と判示しているように、同判旨は査察官が犯則調査のための手段として質問検査権を行使して証拠資料を収集することは許されないとするにとどまり、決して課税処分のための税務調査の際、犯則嫌疑があるときは税務署職員において、これを収税官吏に通報し、回付して査察官をして令状による強制処分をもって、虚偽過少申告所得金額を摘発させて逋脱所得を確定させ、同時に同金額を修正申告させて税務調査の目的を達成しようとすることまで認めるものではないのである。しかも前述のように当該事件では「守秘義務違反の問題の生ずる余地はない」と判示されていることは、収税官吏が独自で犯則事件を探知しことが充分窺われるのであるから、最高裁判決は課税処分の税務調査中に査察官である収税官吏の独自の調査によって、犯則事件が探知された場合をいい、本件のような通報による守秘義務違反をも容認しているとは到底解し得ないのである。

四、以上のとおり原判決は、税実務の現実を正しく把握せず、加えて最高裁昭和五一年七月九日第二小法廷判決の趣旨を誤り、税務調査と犯則調査を混淆し、その結果、違法収集の証拠によって事実を認定する過ちを犯しているのであって、このようなことが公然と税実務で行われ、憲法の基本的人権が無視されている現状を是正するためにも、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると言わざるを得ない。

第三点 原判決は刑の量定が甚だしく不当であって、これを破棄しなければ著しく正義に反するものである。

一、原判決は本件量刑事情として「〈1〉逋脱額が多額であること、〈2〉逋脱率が極めて高率であること、〈1〉本件犯行の動機に何ら考慮すべきものが認められないことなど挙げて、これらの諸事情に照らすと被告人の刑責は甚だ重いと言わざるを得ない」と判示している。

(一) しかし逋脱犯処罰の目的は申告納税制度との関連において理解すべきものであり、刑の量定に当たって、先ず、第一に考慮すべきは逋脱にかかる不正手段の態様において、これが申告納税制度の根本を否定する程の反社会性、反道徳性を有するものとして一般国民の納税倫理に著しく支障を生ぜしめる程の悪質性が認められるかどうかにある。それは所得秘匿行為の態様において著しく反社会的、反道徳的な行為、手段と認定でき、逋脱金額と併せみれば、誠実な納税者として納税倫理を著しく疎外させる程の悪質性が認められれば、責任主義の見地に立って実刑も止むを得ないと言える。

しかるところ、専ら株式取引による売買益にかかる逋脱所得については原則非課税であり、個人では継続して売買し損失を生じても何ら考慮されず、利益の生じた年分のみ一方的に課税されること、株式取引による所得については申告し納税する者が殆ど無い実情であること、徴税当局も何ら行政上の処置に出ることなく長年放置していたこと、寧ろこの不都合は有価証券取引税の強化によって解消させようとする傾向の窺われること、一般にも個人の売買益に対する課税の問題についてはその認識が稀薄であること、さらに本件株式取引が主として投機を目的としたものでなく、その逋脱の手段・方法において悪質・巧妙なものでなかったことなどの諸点を考慮すれば、本件について徒に逋脱金額の高額であり、逋脱率が高率であることにのみ目を奪われ、これをもって「申告納税制度」の根幹に触れる悪質な事案と即断してはならない。

(二) 原判決は、「被告人が本件各犯行に及んだ動機は、矢田産業株式会社の経営資金獲得の目的や株式で儲けた利益を正直に申告することが馬鹿馬鹿しいという気持ちから出たものであって、著しく納税意識を欠いており、その動機には何ら考慮すべきものが認められない」と判示している。

弁護人としても、被告人が矢田産業株式会社を経営して行くうえで資金が必要であり、同社の信用だけでは誰も相手にしてくれず、結局社長である被告人個人の資金が必要であること、そのため被告人が少しでもお金を蓄積しておきたいと考えていたことは否定しない。しかしそのために逋脱したものでないことは被告人が第一審及び原審の各公判廷において明白に供述しているところである。

被告人が本件過少申告に至った最大の原因は、後述するように税法に対する知識の欠如にあるのであって、決して納税意識を欠いたことによるものではない。この点について被告人は第一審裁判所の公判廷において「私も税法に対する知識のなさというものもわかり、なおかつ自分の知識のなさのために大変なことになってしまったというふうに思っています」と明白に供述している。

二、本件犯行の手段・方法は決して悪質なものでない。

(一) 本件は所得秘匿行為を伴わない虚偽過少申告犯であり、第一審判決も認めているように、被告人は株式取引に自己名義の口座を用いており、他人名義や仮名口座を使ったものではなく、仮名預金などもしておらず脱税の手段として特に悪質巧妙な手段を用いたわけではないのである。しかも被告人は保有する全株式の「配当所得」については昭和三六・七年頃から本件まで約二五年間に亘って、毎年配当金内訳書を添付して総て正直に申告しているのであって、若し税務署職員において過去における「配当所得」の申告内容を比較検討すれば、保有株式の売買状況を概ね知り得るばかりでなく、証券市場の株価の動向などをも併せ検討すれば、当該年分の被告人の株式売買益も、或る程度把握し得るのである。

このようなことからすれば、被告人が実際の所得から保有株式の評価損を控除したのは、当時の被告人が法人税法同様、所得税法においても右評価損を控除できると信じたからであり、本件過少申告は正に被告人の税法に対する無知に起因するもので、そこには何らの作為もないということが出来る。

最近、著しく高額な株式取引にかかる逋脱犯が摘発されているが、これらはいずれも仮名口座や他人名義を使用し、所得の分散を図るなどして所得秘匿行為に及ぶなど、その手段・方法は悪質巧妙なものであり、かつ罪証隠滅の顕著なものであって、本件とは著しく事案の内容を異にしている。

三、その他の情状について

(一) 被告人は本件修正申告にかかる所得税(本税)、延滞税、重加算税、及び地方税を含めてその全額を既に完済しているが、その額は昭和五八年乃至昭和六二年分の本税、重加算税、延滞税を加算すると計金一八億〇九七万四七七二円、それに右各年度の地方税計金三億二七三六万三七〇〇円を加算すると総合計金二一億二九三三万八四七二円にも及んでおり、被告人が昭和五八年から昭和六二年度の五年間に働いて得た総利益額を越えるものがある。

しかし右所得税などを納付するため被告人の保有していた株式を売却し、定期預金を取り崩し、さらに自宅を担保に金融機関より多額の融資を得ており、そのため被告人が今後右金融機関に毎月支払うべき金員は利息だけでも約二〇〇万円を越える状況にあり、被告人が服役後残される家族はその支払いに苦慮している。

(二) 被告人は本件を契機に自己の立場を自覚し、再度本件の如き過ちを犯すことのなきよう配慮し、今後の税務申告に際しては、総てを田中税理士に委嘱して行うよう改善処置を講じており、かつ日本育英会及び日本赤十字社に対して、それぞれ金一〇〇〇万円の贖罪寄付もしている。

(三) 被告人には競馬法違反による罰金前科はあるが、他に前科も前歴もない。また被告人が服役することによりうける家族や被告人が経営する矢田産業株式会社及びその従業員に与える影響は計り知れないものがある。

以上述べた諸事情を勘案していただき、厳正な審査のうえ原判決を破棄されるよう上申する。

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